団地の草むしりに借り出された和子は疲れきっていた。
町内会長の緑川との不倫関係が既に4年も続いていた。また、今日も草むしりの後、長い間ねちねちと体中をいじられるのだろう。
すでに夫とはセックスレスの関係になってもう10年近くになるので、緑川との不倫は性的に満たされてはいるものの、あまりにねっとりと同じことをくりかえすその執念に、時々怖くなるのだ。
しかし、緑川はいなかった。
「すいません、父は今日急な不幸があって新潟に帰っているんです。僕がかわりにきました。」
それは、緑川の次男、直也だった。
高校生の直也は、書道とフルートが得意なスポーツマンとして近所でも有名だった。
時折団地に貼るポスターの標語はいつも直也が書いているのだと緑川がよく自慢げに言っていたのを和子は思い出した。
「あ、遠藤さん、お久しぶりです。」
和子にも丁寧に挨拶しにきた。たしか、直也君に会ったのは・・・5年くらい前だったかしら。
まだ野球帽が似合うやんちゃな子供だったのに、いつのまにかこんなに大きくなって。
「こんにちは。ずいぶん大きくなったわね。」
「信二君元気ですか?書道教室やめちゃってから会ってないなぁ。」
「もう就職して北海道にいるわ。」
和子の息子は3人とも就職して団地を離れていたのだった。
「昔よく遊んでもらいましたね、優しいお兄ちゃんだったんでよく覚えてますよ。」
そういって直也は微笑んだ。真っ白な歯をむき出しにして。
和子が熱心に草をむしっていたら、直也がかけよってきた。
そして、突然耳打ちしたのだった。
「お父さんとやってること、僕にもしておくれよ。」
和子はドキっとして思わず声をあげそうになった。
「してくれないと、団地じゅうに言いふらすよ、写真もとったんだ。」
和子は直也の顔をおそるおそる見つめた。
そこには、さっきと変わらず、歯をむき出しにして微笑む直也がいた。
和子は、うなずくしかなかった。
草むしりが終わったあと、いつも緑川と愛欲をむさぼりあう部屋で、和子は直也と向き合った。
直也は強気に誘ったものの、いざふたりきりになると恥ずかしそうにうつむいてしまった。
「僕、もう、ずっと前から、遠藤さんのことが・・・・。」
「カズコって呼んでちょうだいな。」
和子は優しく直也の服を脱がせた。緑川とちがったスベスベの若い肌、そしてみずみずしい恥毛、鍛えられた筋肉。緑川のそれよりも大きなペニスが、はちきれそうに上を向いていた。
そのすべてに、和子はうっとりとしたのだった。
「私なんて、もう、おばちゃんなのに、いいの?」
「和子・・・きれいだよ・・・。」
「直也君のその大きな筆で、私の体に書初めをして!!」
和子は直也にグっとお尻を突き出した。それが始まりの合図だった。
「お父さんもここを触ったの?」
「そうよ、でも直也くんのほうが気持ちいいわ。」
「綺麗だよかずこ」
「アアッ」
「カズコの体に、お習字がしたいよ。」
「いいわ、やってごらんなさい。」
それから7年後、直也がはじめた「ボディーペインティング習字」は、ニューヨークで大流行した。
そのニュースを新聞で読み、和子はひっそりと涙を流して喜んだ。
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