料理教室も3回目となると、高橋の包丁をもつ腕も安定してきた。 ユカリ先生がテーブルの間を巡回しながら、皆の包丁さばきにアドバイスをしている。 ユカリ先生の足が高橋の真後でとまる。 「アッ」 高橋の手がすこし震え、親指を間違えて切ってしまったのだ。 「たいへん!」 ユカリ先生は高橋の親指をくわえ、ちゅうちゅうと吸った。 「高橋さん、ちょっと別室で手当てをします。」 そうして高橋は、ユカリ先生に指をくわえられたまま、公民館の和室へと連れていかれたのだった。 「キャッ」 高橋が料理の腕をあげ、世界の誰もが名を知る、フレンチの巨匠となったのは、その後のことである。 PR Copyright © [ 5884の悪運天国無法地帯 ] All Rights Reserved. http://5884.blog.shinobi.jp/ |