「私、荒々しい人が好きなの」
彼女がそう言ったのを俺は聞き逃さなかった。
それは年末、彼女が所属するサークルの忘年会に、一般人のふりをして同じ居酒屋に潜入し別のテーブルからずっと聞いていたのだ。
荒々しい人・・・・
それはいったいどんな男になるのだろうか。
ある夜、寒い中、彼女の帰り道で俺は待っていた。
ガウンの下はほぼ裸、ブリーフしか履いていない。きっとこの荒々しい男である俺の姿に、彼女はイチコロさ。
彼女は11時45分くらいにここを通過するはずだ。
外は凍てつく空気につつまれ、やがて小雪がちらつき始めた。地面は凍結している。
彼女がやってきた。
まさに俺の前を通り過ぎようというとき、彼女は足をすべらせ転倒した。
あぶない!!!
俺は夢中で走り、彼女の体を受け止めた。俺の顔は彼女の尻に埋もれてしまった。
そのまま二人は、氷の上を滑っていった。
どのくらいの時間が経過しただろう
気づいたら、俺は病院の待合室にいて、彼女が目の前にいた。
「大丈夫・・・ですか?」
頭を強く打って気を失っていたらしい。
「北国育ちだからスケートは得意なのさ」
俺は荒々しく言った。
そして彼女は言った。
「助けていただいてありがとうございます。」
「気にすることはないさ」
俺は荒々しく言った。
「どうしてそんな格好だったのですか?」
ブリーフ一枚にガウン。俺はその格好のまま寝かされていた。
そうだ、言わなければ、ブリーフの中には彼女への思いを綴った手紙があるはずだ。
俺は夢中でガウンをはだけた。
そこには、彼女を目の前にしてすっかり元気になってしまった俺のあそこが、大きなテントをはっていた。
「キャッ」
彼女は真っ赤な顔をして恥じらい、目を逸らした。
そんな俺たちが、冬季オリンピック・ペアのスケート競技で金メダルを受賞したのは、それから3年後のことであった。
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