7年ぶりだろうか、男がこの町に降り立ったのは。
駅前の喫茶店「鳥のさえずり」は健在であることにほっとして、胸をなでおろしながら男は店内へと足を踏み入れた。
「いらっしゃいませ」
店主のヨリコの声が響く。
「これも7年前と変わっちゃいないな・・・・・。」
男は懐かしい思いにかられていたが、ヨリコを見てはっとした。
「おひとり様ですか?」
こちらに歩み寄ってくるヨリコは、男が知っている彼女とは違っていた。
なにしろ・・・・男よりふたまわりも年下であろうか、まだ高校生くらいの若い娘だった。
男は唖然としてヨリコを見つめていた。
「どうしました?」
「いや、なんでも。」
ヨリコはいつのまにこんなに若返ってしまったのか。男は信じられない思いを胸に、あたたかなシートに腰をかけた。
店内は小さな音でジャズが流れていた。客は男ひとり。
「コーヒーになさいますか」
ヨリコらしき店員の問いかけに、やはり何も答えられずに男は彼女の顔を見つめていた。
「あの・・・・・。」
「あ、すまん、バナナジュースをひとつ。」
男は大好物のバナナジュースを注文した。しかし、彼女を見つめる目線をそらすことができなかった。
「どうなさったんですか。」
「ヨリコさんですか。」
彼女はまた驚いた顔をした。
「ヨリコは・・・・私の母です・・・・。」
男は思わずうなった。そうか、もう娘がこんな年なのか・・・・。ヨリコはどこへいったのだろうか。まさか・・・
「ヨリコさんはどうしたんですか。」
聞いてはならぬと思ったがつい口が滑ってしまった。悲しいニュースなど聞きたくないというのに・・・・。
「呼んできます。」
ヨリコの娘は店の奥へと走っていった。
ヨリコ・・・・生きているのか・・・・・・遺骨や遺影が出てきたらどうしたらいいのだ・・・・
胸が高鳴る。
そこへ、ヨリコがやってきた。また信じられない。さっきの娘と同じくらいの若さだ。
「芳蔵さん!!!」
ヨリコの声だ。
「どうしたんだ、ヨリコ・・・・。」
「ヒアルロン酸注射をしたら若返ったのよ!」
「きれいだ・・・・。」
「バナナジュースを頼んだのかしら?」
「そうだ、変わっちゃいないのだ。」
「芳蔵さんのバナナジュースが飲みたいわ」
そう言うと、ヨリコは男のズボンをあっという間に脱がせ、男のバナナにむしゃぶりついたのだった。
「よかった・・・・この町に帰ってきて・・・・。」
男は、快感に身をゆだねながら、そう思ったのだった。
PR