人類がカラスとの戦いを始めて200年がたち、俊夫が発明した撃退電波は飛ぶように売れた。
カラスの脳に直接命令するという画期的な電波がその発明の根幹にあった。
カラスは、電波を発している箇所には決して近寄らず、その地域では人も襲わず、食料も奪わず、全国2万箇所の「カラス給餌場」にのみ集中して、しかるべき食料の配給を待っていたのだった。
次に俊夫が開発を試みたのは、カラスの交尾をコントロールする電波だ。これさえあればカラスの数を減らしていくことができるのだった。
ラボに篭ること30日、ようやく電波は完成をなしていた。
「貴子、やったよ、やったよ」
俊夫は狂喜しながら居間へとやってきた。
「た・・・・貴子・・・・。」
そこには、妻の貴子が見知らぬ男にまたがり、腰を激しく振っていたのだった。俊夫の呼びかけにも答えない。
ただ一心に見知らぬ男と妻の貴子は性行為を続けていた。
そうか・・・・・
間違えて人間用の電波を開発してしまったのか・・・・・
俊夫は、大きく揺れる妻の乳を眺めながら、そっと涙したのだった。
ラボに戻った俊夫は、電波を「性欲を抑える」モードに切り替え、居間に戻った。
見知らぬ男はいなくなり、一羽のカラスがシーツをついばんでいた。
「貴子・・・どこいったんだい?」
カラスが、カァ、と、返事をした。
貴子はカラスだったのだ。
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